Web2.0からWeb3というデジタル世界への移行
さまざまな「価値」のデジタル化が進む
ハナエ:デジタル通貨で私たちの社会はどう変わりますか?
時田:端的に言うと、本格的にデジタル化が進みます。インターネット上でお金を動かそうとした時に、その相対となる商品もデジタル化していた方が良いからです。
ハナエ:デジタル化しているとなぜ良いのでしょうか?
時田:ハナエさんは、なぜお金を使いますか?
ハナエ:生活に必要だったり、便利になったり、豊かになると思うからですかね?
時田:つまり、お金と交換する“価値”があるから、対価として支払っているわけです。世の中のあらゆるモノやサービスには“価値”があります。もちろん、お金も価値です。“世の中のあらゆる価値をデジタル化すること”で価値の存在と移動が共有され、機能を追加することが容易になります。デジタル化により自動処理が進むことでさらに生活やビジネスが便利になります。
有形なものもNFTでデジタルになる
時田:しかし今までは、リアルとバーチャルの価値を接続させることができませんでしたが、NFT*1 を活用することでそれが実現できます。
まだ本格実装には課題がありますが、リアルの世界にある物がインターネットの中で交換できるようになる素地はできつつあります。この変化は、これまでの「Web2.0*2」の世界から、「Web3*3」と呼ばれる完全なるデジタル世界への移行とも言えます。
Web2.0は提供者が圧倒的有利
ハナエ:最近よく聞く「Web3」と「Web2.0」との大きな違いは何ですか?
時田:Web2.0の最大の特徴は、提供側が圧倒的に強いということです。AmazonやGoogleをはじめとするビッグテック企業はあらゆることを無料か圧倒的な安さで使えるようにする代わりに、裏で広告などから収入を得る仕組みをつくり上げた。結果として、彼らそのものがプラットフォームになったんですね。
便利にはなりましたが、彼らのようなプラットフォーマーに情報が全部集約されるという心配もあるし、何より提供側の機能しか使えない。そういった意味では、支配されている状態とも言えます。これが、これまでのWeb2.0の世界です。
Web3は利用者が選び、創造していく
ハナエ:それが、Web3だと何が変わってくるのですか?
時田:Web3の世界は提供者と利用者の関係が対等です。誰でもサービスを受け取れるし、場合によっては利用者も提供側になることが可能です。つまり、誰もが公平に選択できるようになります。
また、今のWeb2.0の世界はデータは全てプラットフォーマー側にありますが、Web3ではインターネット上のブロックチェーン*6 にデータが共有されています。このデータは利用者が活用できるので相互承認することでサービスを受けられるようになる。これがスマートコントラクト*7 と呼ばれるものです。
時田:『デジタル通貨で私たちの生活の何が便利になる?』で例を出した、デジタル通貨による自動振り分け支払いを担っているのがスマートコントラクトです。
企業間連携を促すWeb2.5のプラットフォーム
ハナエ:つまり、プラットフォーマーのような提供者が主体のサービスから、利用者主体のサービスに変わってくると?
時田:そうです。例えば、Amazonに出店していない店舗の商品をAmazonの物流に乗せてほしいと思っても無理ですよね。でもWeb3のように誰にでも開かれた世界では、運送会社と契約がない小さな商店で買い物した場合もその場で直接契約してマイクロ物流で荷物を運ぶことも可能になってくる。
ハナエ:仲介者を介さずにやり取りができるようになるということですね。
時田:そこでディーカレットDCPのプラットフォームは、Web3へのステップとして企業間連携を促進する"Web2.5の世界"を実現しようとしています。例えば、いったん役所で住所変更の手続きさえすれば、銀行や免許証、郵便局などへ住所情報が自動連携されることなども可能にします。
Web3では、生活もビジネスもよりシンプルに
ハナエ:仲介業者に影響はあるのでしょうか?
時田:Web3の世界では、仲介的な役割はブロックチェーンやスマートコントラクトで自動化されていきます。その過程で、単純に仲介をしていただけの業種・業態は大幅に縮小されるかもしれません。
ハナエ:その反面で、新たに強化されていく部分はありますか?
時田:ダイレクト販売がさらに広がるため、本当に良い製品や商品をつくっている会社はより売りやすくなるでしょう。消費者側も良い商品にアクセスできるチャンスが増えます。
ハナエ:私たちの生活やビジネスが、シンプルで効率的になっていくわけですね。
時田:その通りです。そのために、デジタル通貨やNFTのようなインターネット上に価値を存在させて交換できる仕組みが必要で、世界中でその動きが活発になっているのです。
ハナエ:そのなかで、デジタル通貨はどれぐらい進んでいるのでしょうか?
時田:では次は、世界のデジタル通貨事情と日本の現在地について見ていきましょうか。
(注)記事内の事例は特定の会社を指しているわけではなく、あくまで一般的な想定事例です。