「お金のデジタル化」とは何か?
ハナエ:時田さん、こんにちは。デジタル通貨について日々、学んではいるものの、まだ難しい部分がありまして…今回はいろいろ質問させてください!
時田一広(以下、時田):ハナエさん、全くそんな感じに見えなかったけどね。では、何から話しましょうか?
デジタル通貨とキャッシュレスの違い
ハナエ:そうですね、それでは改めて「デジタル通貨」について基本から教えてください。正直、クレジットカードやキャッシュレス決済*1(以下、キャッシュレス)と何が違うんですか?
時田:確かに分かりにくいところだね。デジタル通貨は文字通り「お金をデジタル化させる」ということです。
ハナエ:キャッシュレスもすでにデジタル化されているのでは?
時田:実は意外とそうでもないのです。それを知るには、現在のお金の仕組みを知らないと分かりにくいので、そこから始めましょうか。
そもそも「お金」とは?
時田:そもそもお金って何だと思う?
ハナエ:物やサービスを購入する際に使う小銭やお札…でしょうか?
時田:そうですね。お金とは「現金」と「銀行預金」があります。現金を渡す時は、当たり前ですが誰も介在しません。
一方で銀行預金の場合は、それぞれの銀行を介して送ります。
裏では銀行のシステムが動いてやり取りしているため手渡しよりは少し複雑ですが、「銀行預金」というお金を直接やり取りしているため、処理は比較的シンプルです。
DCPがデジタル化させるのは「銀行預金」
ハナエ:ディーカレットDCPがデジタル化するお金は「銀行預金」ですか?
時田:そうです。だから、キャッシュレスとは違うのです。
ハナエ:でも、銀行預金はすでにデジタル化されていますよね?デビットカード*2 やオンラインバンキング*3 など…。
時田:デジタルトランスフォーメーション(DX)には3段階あります*4。そのうちネットバンキングやキャッシュレスは、既存の業務フローの単純なデジタルシフトを指す「デジタイゼーション」にとどまっています。そのため、業務全体の効率化や新たな価値創出を目指すツールとしては不足しているのです。
ハナエ:そうなのですか?
時田:はい、詳しく説明していきますね。
ネットバンキングではもの足りない?
時田:オンライン振込など銀行のネットサービスはすでにとても便利ですが、銀行が提供している機能の範囲内でしか使えません。
マネーフォワード*5 のような家計簿アプリと連携はできるようになりましたが、データを連携しているだけで、そのような外部サービスから銀行のお金を動かすことはできません。
これは、本格的なデジタル化という観点からは不完全なのです。このことは、キャッシュレスにも言えます。
キャッシュレスでもまだ不十分?
時田:私たちの生活に欠かせなくなったキャッシュレスですが、同じく提供者側の範囲内でしか機能が使えません。
例えばこのお店はQRコード決済や交通系ICのみとか、別のお店はクレジットカードは使えるけどVISAかMasterのみなど、サービス提供者が提携しているお店(加盟店)でしか使えません。
ハナエ:確かに困る時あります!キャッシュレスサービスごとにチャージをしなければいけないし、最悪、ATMに現金を下ろしに行ったり…。キャッシュレスの種類が多すぎると思うんです。使えるお店、使えないお店があることで、どんどんアプリが増えてしまっています。
さらに、異なる電子マネー同士では、送金できないことが多いですよね。PayPayからなど…。
時田:そうですよね。でも実は、キャッシュレスはさらに効率が悪い仕組みがあるのです。次回は、そこからお話していきますね。
ハナエ:はい、お願いします!
(注)記事内の事例は特定の会社を指しているわけではなく、あくまで一般的な想定事例です。