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GXの要となる「環境価値」とは?

デジタル通貨やデジタル決済、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、お金や決済のデジタル化にまつわる質問にお答えしていくコーナーです。

今回は今年の7月に商用化でリリースしようとしているブロックチェーン技術を用いた環境価値のデジタルアセットとデジタル通貨決済について聞いていきたいと思います。

そもそも環境価値とは何なのか?「カーボンクレジット」や「カーボンオフセット」などさまざまな言葉が飛び交いわかりにくい「グリーントランスフォーメーション(GX)」にまつまるキーワードについて、『環境価値ってどんな「価値」?』という記事をベースに改めて整理していきます。

ぜひ移動時間や休憩時間の合間にお目通しいただければと思います!
※本稿はあくまでディーカレットDCPの解釈として書いています。


Q.グリーントランスフォーメーション(GX)とは何ですか?

A.GXは化石燃料を使わず、温室効果ガス(GHG)の排出量を減らしてクリーンな社会を実現する取り組み全般を指す言葉です。GXという大きな取り組み、大きな流れのなかに、電力の環境価値や、二酸化炭素(CO2)の削減量・吸収量をオフセット(相殺)するJ-クレジット、企業間の排出枠の取引を行う排出権取引という仕組みがあります。

Q.環境価値とは何ですか?

A.ひと言でいえば「エネルギーの付加価値」です。大きく分けると二つに分類され、再生可能エネルギー等によりCO2を排出せずにつくられるエネルギーの付加価値と、省エネルギーや森林保護等のCO2排出抑制プロジェクトから発生する付加価値があります。

例えば、1kWh(キロワットアワー)という量の電力があったとします。この電力は、それが原子力で発電されたものであっても、火力で発電されたものであったとしても、1kWhという電力としての価値は変わりません。

それに対して太陽光などの再生可能エネルギーで発電された電力には、「発電の過程でCO2の排出量が抑えられている」という価値があります。これがエネルギーの価値とは別の、付加価値としての環境価値となります。

Q.環境価値が注目されるようになった理由や背景は?

A.環境負荷の低減が事業者の利益になるようになってきたことが大きく一つあります。それは、技術の進歩によって再生可能エネルギーの低コスト化が進んだことや、国のFIT制度等の支援によって導入量が拡大したことで、通常の火力等の電力より再生可能エネルギーの電力の方が割安になりました。

加えて、企業イメージ・企業価値も向上するという状況になったことで、企業へ投資する側や、企業の商品やサービスを買う側も環境価値へ目が向けられています。値段がほとんど変わらないのであれば、環境に配慮された電力や環境負荷の少ない商品やサービスを利用したい。世の中的にそういった意識が広まってきているのも背景にあります。

Q.カーボンニュートラルとは?

A.再生可能エネルギーに切り替えるなど自らの活動範囲内でCO2排出量を抑制・削減する「グロスの排出量(総排出量)」と、植林でCO2の吸収を促したり、他社が行った排出量削減分をクレジット化してオフセットするなど、自らの活動範囲外で排出量を削減する「ネットの排出量(正味の排出量)」があります。これらを組み合わせて、GHGの実質排出量をゼロにするというのが「カーボンニュートラル」の考え方です。

Q.環境価値の購入方法は?

A.環境価値が証明されているグリーン電力を電力と環境価値のセットで購入するか、取引市場等で環境価値のみを購入するかの2通りです。カタチが見えない環境価値を証明するために、グリーン電力証書や非化石証書といった証明書が認証機関等から発行されます。

グリーン電力を事業や製品開発に使うか、電力は通常の電力を利用して同量の環境価値を購入することによって、購入した人や企業自身が環境に貢献しているという価値を得ることができます。

環境価値の種類によっては転売することもできますが、事業や製品開発に利用された時点で環境価値としては償却され、当該企業のGHG排出量の報告書内に記載されます。

Q.環境価値の取引の種類は?

A.現在、日本国内の環境価値の取引には、グリーン電力証書、非化石証書、J-クレジットという3種類のクレジットが使われています。

Q.グリーン電力証書とは?

グリーン電力証書は再生可能エネルギーによって発電された電力の価値を証明し、電力とセットで取引されるものです。

なお、5年前、10年前に発電したグリーン電力をずっと使い続けることはできないので、当年度に入手した環境価値を翌年度以降に利用するといったことはできません。そのため、基本的には1年以内に利用する必要があります。

Q.非化石証書とは?

非化石証書は再生可能エネルギーを電力としての価値と環境価値に分け、電力とは切り離して、環境価値だけを証書化して取引します。その点がグリーン電力証書と異なります。

Q.FITと非FITとは?

A.非化石証書の種類です。FITとは「Feed-in Tariff」の略で、もともと2012年に始まった再生可能エネルギー由来電力の固定価格買取制度のことです。

例えば家庭用ソーラーパネルで発電された電力は、発電から10年の間、一定の価格で電力会社が買い取らなければいけません。この買取制度で取引される電力の環境価値部分のみを証明するのがFIT非化石証書です。

一方の非FIT非化石証書は、固定価格買取制度の対象から外れた電力の環境価値を証明する証書です。太陽光、風力等の再生可能エネルギーの非化石電源からの環境価値を示す「非FIT非化石証書(再エネ指定あり)」と、原子力など再生可能エネルギーではない非化石電源から発電された電力の環境価値を示す「非FIT非化石証書(再エネ指定なし)」の2種類に分けられます。

Q.「カーボン・オフセット」とは?

A.非化石証書を活用した、カーボンニュートラルを実現させる方法の一つです。例えば、ある企業が火力発電をオフィスや工場に使用している場合、環境に負荷をかけてしまっています。でも、この企業が再生可能エネルギーによって発電された電力の非化石証書を購入すれば、その電力量の分だけCO2の排出削減に貢献しているということになるわけです。

つまり、非化石証書を購入することによって、CO2排出量がオフセットされるのです。これがいわゆる「カーボン・オフセット」と言われているものです。

Q.J-クレジットとは?

A.J-クレジットはグリーン電力証書、非化石証書とは違い、環境に対する取り組みを促すための制度です。企業が省エネ機器を導入したり、植林プロジェクトなどを実施したりした際に、CO2の排出削減量と吸収量に見合ったクレジットが発行されます。

発行されたクレジットは売買可能なので、省エネ機器や森林管理にかかるコストを抑えられます。購入する側も環境に貢献できるというメリットがあります。

Q.デジタル通貨に期待する役割

A.環境価値取引の課題として価値が見えにくいことが一つ挙げられます。再生可能エネルギーは、認証機関によって価値が証明されます。しかし、それが流通していく過程で環境価値が見えなくなっていってしまうのが現状の課題です。

例えば、環境価値が高いエネルギーで開発された商品だとしても、本当に再生可能エネルギーを使用して製造された商品なのか、CO2の抑制量は正しい数値なのか、今のところ確かめる術がありません。

また、価値が見えないと取引への信頼や環境に貢献したという実感を得られません。この価値の見えにくさ、流通プロセスで価値を証明できないという今の状況が、環境価値の流動性の低さにつながっている要因の一つだと考えられます。

このような課題に、デジタル通貨の最大の特徴であるトレーサビリティや決済取引にプログラムをかけられる機能が大いに役立ちます。GXを推し進める決済インフラの主軸として、デジタル通貨が日本の環境価値取引を引っ張っていくことを期待しています!

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