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“プログラマブルマネー”がもたらす新たな体験価値

こんにちは。
ディーカレットDCPのプロダクトブログ編集部です。

前回はプラットフォームサービスデザイングループの鳥井晋吾さんと藤井陽大さんに、デジタル通貨の機能的な価値について聞きました。

新たな価値を創出するためのキーワードとして出てきた“プログラマブルマネー”。いったいどれほどの革新性があるのでしょうか?引き続き、鳥井さんと藤井さんに伺っていきます。

前半の記事 ▷ デジタル通貨の機能的価値とは?

クーポンをリサイクル!? プログラマビリティが生む新たな価値

——前回、デジタル通貨の核心は“プログラマブルマネー”であるというお話でしたが、いったい何が画期的なのでしょうか?

藤井陽大(以下、藤井):例えば、ブロックチェーンでもクーポンやポイントを表現することができますが、従来の機能だけでなく新たな価値をもたらすことができます。

参考記事 ▷ ホントにわかるブロックチェーン2 ブロックチェーンって本当に安全?

鳥井晋吾(以下、鳥井):これまで紙のクーポンは期限を決めて使用を促していましたが、デジタルクーポンにすることで“徐々に金額を減らしていく”といった全く新しい機能なども追加することができます。「期限がまだ先だから」と使い忘れていた人も、徐々に金額が減るならすぐに使いたくなりますよね。

また、使われなかったクーポンはリサイクルも可能です。循環させることによって使われずに減産してしまった分を原資に充てることでより多くのクーポンを発行できますし、ある程度の利用率が分かれば紙の時よりも予算が少なくすみます。

このように、通常の計算ではできなかったことが実現できるというところが、新たな価値になるのです。

プログラマブルマネーが加速させる“環境価値”

藤井:デジタル通貨はそのお金をどのように入手し、何に使ったのかという流れが明確に可視化できるため、特定の方法で入手したお金の使い道を制限することも可能になります。

これを企業の“環境価値”に応用した場合、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減量を取引する「カーボンクレジット*1」や環境投資で使われる「グリーンマネー*2」といった環境価値で仕入れた対価を環境に貢献する取り組みにしか使えないよう制限をかけることも可能になります。

企業にとっては環境貢献度を可視化することができ、カーボンニュートラル*3 の達成を推進します。

(左→真ん中のゴールドコイン)通常の経済活動では制御がかけられていない一般的なお金として支払われるが、(真ん中→右のグリーンコイン)CO2削減など特定の用途で使われたお金は、例えば"グリーンコイン”のようなお金として発行し、使途を制限することができる。

*1 カーボンクレジット(炭素クレジット):森林保護や省エネ、再生可能エネルギーなどの取り組みによる温暖化ガス削減量や吸収量を「クレジット」として企業間で売買できる仕組み。

*2 グリーンマネー(脱炭素マネー):「ESG(環境・社会・企業統治)」を考慮した投資の一貫として使われる、環境改善や温暖化ガス削減事業への投資資金。

*3 カーボンニュートラル(炭素中立):人間が排出したCO2と植物が吸収したCO2の量を均衡させることでCO2の排出量を実質ゼロにし、脱炭素社会を目指すこと。

プログラマブルマネーはこのような既存の課題解決に貢献することで、新たな価値を生み出していきます。

デジタル通貨だからつくれる新たな体験とストーリー

——デジタル通貨ならではの新たな体験とは何でしょうか?

鳥井:例えば、近年急速に普及しているスマホ決済は、現金支払いと比べたら便利ですが、スマホを取り出してアプリを起動させ、店員やセルフレジで読み取ってもらう必要がありますよね。

いかに意識しなくても決済できる体験をつくり込むかが、UI/UX(ユーザー体験やデザイン)を考えるうえで大事なところです。

例えば私が最近購入したスマートリングは、指輪を読み取り装置に近づけるだけで決済できるので、便利だと思っていたスマホ決済よりさらに便利でスマートなサービスになっています。

鳥井さんがUI/UX検証の一環で使うVisaのタッチ決済対応のスマートリング「EVERING(エブリング)」

鳥井:数年前に話題になった「Amazon Go」では、商品を手に店を出れば自然と決済が完了していました。最終的なアウトプットは分かりませんが、新しいものを生み出すには、新しい体験によって前の体験が古いものになるということが体験価値としてはポイントだと思います。

スマホが変えたものは、私たちのライフスタイルです。スターバックスコーヒーも同じで、コーヒーではなく「スターバックスというサードプレイスでコーヒーを飲む」という新たな体験価値を創出しました。つまり、機能的価値にとどまらない体験ストーリーをつくることが重要になってくるわけです。

われわれもデジタル通貨だから成せるストーリーをつくることこそが、普及させるためにもっとも重要なテーマだと思います。

デジタル通貨で実現する新たな未来とは?

——最後に、デジタル通貨によってどんな未来を実現させたいのか聞かせてください。

藤井:新しいテクノロジーが社会に浸透するには、消費者に普及することが欠かせません。そのために、消費者への架け橋となる多くの企業にデジタル通貨を活用していただけるサービスを開発したいと思っています。

——鳥井さんはどうですか?

鳥井:私は、エポックメイキングなUXを世の中に残したいです。決済という行為を意識しない、お金の支払い方がガラッと変わる新しい世界を実現したいです。

——ありがとうございました。デジタル通貨による新たな体験価値の実現に向け、一緒に頑張りましょう!

写真左:藤井陽大 (プロダクト開発部門 PFサービスデザインG )
2022年11月より株式会社ディーカレットDCPに参画。メガバンクのユーザー系SIerで銀行勘定系システムのSEとしてキャリアをスタート。その後大手カード会社2社で会員Webサイト構築やカード取引におけるセキュリティ対応(EMV対応)、モバイルペイメント対応を担当し現在に至る。

写真右:鳥井晋吾(プロダクト開発部門 PFサービスデザインG 兼 プロダクト開発G)
2021年6月より株式会社ディーカレットDCP参画。 電通クリエイティブで広告デザイン、米ランドーアソシエイツでブランディング・CI、UXに従事し独立。金融系Webなどの顧客体験設計、企画デザインコンサルティングなど多数手がける。またビジネス書著作や講演セミナー等を行う。現在デジタル通貨プラットフォームのUI/UXを担当。

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