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自律分散型で、クリエイティブなマネジメント

こんにちは、ディーカレットDCPのハナエです。
技術的な難所を乗り越え、世界に一つだけのプロダクトとして生み出されたデジタル通貨プラットフォーム。通常の決算手段を超えた、新たな付加価値がもたらされるポテンシャルを改めて感じました。

今回は、そんな前例のないプロダクト開発に取り組むチームをどのようにまとめ上げているのか。プロダクト開発部門 プロダクト開発グループヘッド
である清水健一さんにマネジメント手法を伺っていきます。

前回までの記事 ▷
vol.2-1:お金の価値と役割とは?
vol.2-2:個別の価値が重なり生まれる、新たな経済圏
vol.2-3:唯一無二のデジタル通貨をつくる開発技術

少数精鋭のクリエイティブなプロフェッショナル集団

ハナエ:プロダクト開発グループでは独自のマネジメント手法を取り入れているとのことですが、その点を詳しく教えていただけますか?
 
清水健一(以下、清水):独自かどうかはわかりませんが(笑)。デジタル通貨事業の立ち上げにともない、エンジニアもイチから採用しているため、エンジニア一人ひとりの強みが最大限に活かせるチームにしたいとは考えています。

現在は、アプリケーションを開発するソフトウェアエンジニアと、ブロックチェーンやクラウドネイティブなインフラ基盤を開発するエンジニアの2チームに分かれています。それぞれ、エンジニアの強みとクリエイティブ性が発揮できるような環境づくりを意識しています。
 
ハナエ:エンジニアさんはロジカルに淡々とタスクをこなしているイメージでしたが、クリエイティビティが必要なんですね。
 
清水:ニーズや課題を解決するための効率重視のタスクももちろんありますが、特に私たちが目指すデジタル通貨を実現するための思考プロセスにはシーズ志向*1 も重要で、エンジニアは技術を起点に新たな価値を創造するクリエイティブ性が求められています

*1 シーズ志向:企業が独自の技術やリソース、企画力などの「種」を生かして新しい商品やサービス、事業を生み出し、新たな市場をつくること。反対に、消費者の必要性に基づいて商品やサービスを生み出す考え方を「ニーズ志向」と言う。

私たちは単に今ある決済サービスを模写したプロダクトサービスをつくっているわけではありません。今ある通貨の価値と役割をデジタル化することにより、新たな価値を世の中に生み出そうとしています。

そのためにエンジニアのプロダクト開発に対する開発プロセスの考え方や、日々の意識がどこに向いているのか、いま向いている方向が妥当なのかリードしていくのが私の役目です。

セルフマイクロマネジメントとマクロマネジメントで、成果を出す

清水:そこで大事な点が2点あり、「セルフマイクロマネジメント」「マクロマネジメント」の使い分けです。
 
ハナエ:それぞれどう違うのですか?
 
清水:マイクロマネジメントは一般的には「行動を細かく管理・チェックし、過干渉してしまうマネジメント」といったどちらかというとネガティブなイメージですが、私が求めているマイクロマネジメントは、自分自身に対してです。

時間もリソースも有限なので、まず無駄なタスクはつくらない、増やさない。またタスク一つひとつの目的や意味を自問したり、各チームで議論したりしながら最短距離のソリューションを考えることを求めています

もちろん、セルフとはいえマイクロマネジメントし続けると完全合理的なタスクのみの価値を生み出すという罠に陥るわけですが、そこはいわゆる20%ルール*2 のような仕組みを取り入れメリハリをつけられるような取り組みもしています。

*2 20%ルール:勤務時間の20%を普段のプロジェクト以外のことや創造的な時間に費やすことが許されている制度。Googleが「イノベーションの源泉」として積極的に取り入れていた。

一方で、部下に対しては自主性を尊重するマクロマネジメントで接します。なぜなら、上司が事細かに指示を出すマイクロマネジメントは、それぞれが考え悩んで答えを出すことを繰り返して生み出されるであろう深い理解や、自身の気づきにもとづくクリエイティブ性を殺してしまうからです。目指すところは、セルフマイクロマネジメント(効率)とマクロマネジメント(創造性)のバランスが取れた状態です。

フルリモートのチームマネジメント

ハナエ:自由にさせるところは大胆に任せているわけですね。
 
清水:はい。しかし、結果が出せなければ意味がありません。そのため、細かくは何やっているかよく分からないので“放ったらかし”ということはしません
 
ハナエ:その塩梅って難しいと思いますが、実際にはどう進めていますか?
 
清水:私たちの開発プロセスはスクラム開発*3 を採用しています。スクラム開発のフレームワークにはいくつか定義されたイベントがあります。そのイベントを中心に、各人がプロダクト開発でどんな役割を担っていて、それがどこにつながるのか、また全体への影響はどの程度なのかなどを明確にします。それらを踏まえ、より良いアイデアがないかといった問いかけやアドバイス、反復行動の意識づけのためのコミュニケーションを強くやっています。

*3 スクラム開発:少人数のチームを組み、目的に沿ってタスクを振り分け、メンバー間で密にコミュニケーションを取りながらそれぞれがタスクを達成することでプロダクトを完成させる開発手法。短期間の開発を繰り返し行うことから、「アジャイルの開発」の一種と位置づけられる。

ハナエ:プロダクト開発グループではフルリモートを採用しているとのことですが、どのように一人ひとり​​を導きながら全体の士気を保ってますか?
 
清水:それぞれの強みと弱みをちゃんと見極めるため、本人の意識や考えを取り入れるようにしています。プロダクト開発に求められる技術スタック*4 は多岐にわたるので、より個々がもつ強みを活かした開発スタイルでないと実現できません。

技術スタック(テックスタック)*4:特定のビジネス目標を達成するために使用される一連のテクノロジーサービス。 

何でもできるオールラウンダーではなく、固有の専門性をもつスペシャリストの集まりなので、1on1ミーティングで足りない部分をどう補うか、各チームで課題を定期的に振り返るなどバランスをとりながら密にコミュニケーションしています。

ポイントを押さえたマネジメントで、自律分散型のチームをつくる

ハナエ:フルリモートの課題は何かありますか?
 
清水:プロジェクト発足時の2年前からフルリモートですが、プロダクトの価値を上げるという意味でのアウトプットは確実に出せていると思います。一方でさらにアウトプットの質を高めるには、価値観の共有(コミュニケーション力)や計画性(セルフマイクロマネジメント)が必要です。
 
現在は「oVice」というバーチャルオフィスを導入して、ちょっとした会話やコミュニケーションを取りながら行っています。私の手がかかることはほとんどなく、お互いを積極的にフォローしながらスムーズに進められるようになってきています。

ディーカレットDCPがオンラインコミュニケーションの場として活用しているバーチャルオフィス「oVice」

またプロダクト開発の計画進行は、2週間ごとのイテレーション開発*5 、いわゆるPDCAサイクル*6 を短期間で回しています。前の期間で目標達成できなかったことを掘り起こし、課題解決に向けて次の2週間でどうトライするかということを各チームごとに自律して考えながら進めています。 

*5 イテレーション開発:一連の工程を短期間で繰り返すアジャイル開発の一環で用いられる開発サイクル。一般的に「設計」「開発」「テスト」「改善」 から構成される。
 
*6 PDCAサイクル:Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の仮説・検証型プロセスを繰り返し実行することで、マネジメントの品質向上や業務改善を促す概念。

しかし、プロジェクト発足時からフルリモートなので対面していない人も多く、組織全体としてどう最適化させるかを模索しているところです。ワークスタイルにも完全に慣れた人もいれば、まだアジャストしている人もいます。
 
現状のディーカレットDCPは、業種業態や今までのキャリアが大きく異なる人材が集まっています。その分、オープンイノベーション的な発想でお互いの強みを活かした新しいサービスを生み出せる大きな可能性があると感じており、その方向にうまく向けられるようリードしていきたいと思います。

ハナエ:ディーカレットDCPのプロダクトや開発グループの日々の努力を知って、デジタル通貨という全く新しいプロダクトを創り出すことの大変さや意義を学ぶことができました。ありがとうございました。

清水健一(プロダクト開発部門 プロダクト開発グループヘッド)|
プロダクト開発責任者としてデジタル通貨フォーラムの各分科会を技術でサポートするかたわら、プラットフォーム事業のコアとなるプロダクトアーキテクトとしてプロダクトグループをリードしている。

‐編集後記‐

今回もお読みいただきありがとうございます!
最近一段と寒波が増しましたね…。こんな寒い日はご飯を食べないと明日を乗り超えられない!と毎日言い訳をつけて蓄えを増しているハナエです。

さて、少しだけそんなハナエの今の仕事への想いを話したいと思います。

私は好きな言葉の一つに、アインシュタインの
「失敗ではない。うまくいかない1万回の方法を発見したのだ」という言葉があります。

この言葉は、何度も壁にぶつかって失敗を繰り返している私たちの背中を押してくれます。世の中にないものを創り出した先駆者としてのアインシュタインの言葉からは、自分自身を信じて、想像を超えた努力を続ける覚悟が大事だと感じました。

これを乗り越えてディーカレットDCPのデジタル通貨が世に誕生した時には、社会インフラにインパクトをもたらすと思います。
未来の社会インフラになるデジタル通貨は、私たちの「想い」が形になり価値を提供し、そこに人々の「想い」がつながり、初めてでき上がる大きく温かい大樹のようなものではないかと感じました。

PS:清水さんはロジカルで仕事も厳格です。お話をしていると勉強になることばかりなのですが、ご飯をご一緒させていただいた時には自分のお肉を私に分けてくださる心お優しいお方なのです✌

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