個別の価値が重なり生まれる、新たな経済圏
独立しつつもつながり合う世界観
ハナエ:前回のお話にあった、“お互いが独立し、かつ、つながり合う世界観”とは?
清水健一(以下、清水):前回、みんなが共通認識可能な価値がお金で、お金という価値を使って新たな価値を生み出すことを目的に二層構造に分けているという話をしました。
そのために、お金をデジタル通貨に変換して動かし管理する領域と、さまざまな情報やモノ=価値を生み出して取引されるサービスの領域を定義しており、それぞれ共通領域、付加領域と呼んでいます。
ハナエ:それが、二層構造プラットフォームというお話でしたね。
清水:はい。この共通領域・付加領域で価値の境目をもたせつつ、シームレスに(同期的に)相互運用性(インターオペラビリティ)を具備する仕組みにすることにより、共通認識可能なデジタル化された価値を使った便利なサービスをつくりだすのが、われわれの二層構造プラットフォームとなります。
ハナエ:でも、これって、システムに関しては素人の私から見てもかなり難しいシステム構築に感じます…。
清水:そうですね、頑張ってつくっています(笑)。技術的な課題もたくさんありますが、実現するうえで重要なポイントが二つあり、そこに焦点を置き日々エンジニアたちと開発に励んでいます。
ハナエ:それが、“お互いが独立し、かつ、つながり合う世界観”というわけですね。
清水:そうです。
金流と商流をつなぐ二層構造プラットフォーム
ハナエ:共通領域と付加領域についてもう少し詳しく説明してもらえますか?
清水:二層構造というのは、金流(共通領域)と商流(付加領域)の二つの領域をつなげることにより、デジタル通貨を中心とした新たな世界観をつくり上げようとしています。
共通領域を中心に複数の付加領域が立ち上がることを想定しており、このような構成とすることで、各付加領域上の付加価値データが、デジタル通貨を通じてつながることを可能としています。
ハナエ:それって、例えば引越しで役所に住所変更したら、ライフライン企業やンや金融機関などへ連携がされて、住所変更手続きが不要になるってことでしょうか?
清水:まさにその通りです。ライフライン企業や金融機関が付加領域でサービスを立ち上げれば実現可能です。
ハナエ:早くそうなってほしいです(笑)。ところで、中心となる共通領域を担うのはどこなんですか?
清水:共通領域は「銀行」が担います。お金というのはきちんと管理され、安全を担保されている必要があります。なので、私たちの共通領域は銀行法に従い、銀行業を担う企業が管理者となることで、従来どおり安心安全に使うことができます。
さまざまな経済圏と協調し、共創していく世界
清水:付加領域は、現状いくつもある同一の価値で形成されるネットワーク経済圏を一つにまとめ上げたものです。これは効率化が期待できるという点と、それぞれ異なる価値をもつ経済圏がベン図のように重なり合うことで、新たな経済圏を生み出すことができます。
ハナエ:でも、異なる価値観のネットワーク経済圏をつなぎ合わせるって、難しい気がしますが…。
清水:ハナエさん、良いところに気づきましたね。そこが技術的な最大の難所であり、デジタル通貨プラットフォームの強みでもあるところです。
ハナエ:そうなんですね。では次回は、開発において技術的に克服してきたことと私たちのプロダクトの長所について教えてください。