デジタル通貨DCJPY商用化への道・2 これまでの軌跡
これまでの通貨取引や金融システムが変わり、私たちのライフスタイルのあり方をも変えていくであろうデジタル通貨DCJPY。
今夏、DCJPYの商用化リリースを迎えます。しかし、全く新たな金融インフラの開発は一朝一夕で成し得ることはできませんでした。本編では、私たちが2020年から試行錯誤してきた開発の変遷をお伝えします。(文:副社長COO 時田一広)
デジタル通貨勉強会発足〜デジタル通貨フォーラム設立
2020年に発足したデジタル通貨勉強会でデジタル通貨の実現方法として銀行預金のトークン化を提唱しました。この時は多くのメディアに掲載され話題を呼び、デジタル通貨実現に向けた一歩を踏み出しました。
デジタル通貨勉強会の座長にはフューチャー株式会社取締役(元日本銀行決済機構局長)の山岡浩巳様に就任いただき、メガバンク3行を始め、NTTやKDDI、JR東日本など日本の金融インフラ、社会インフラを担う企業、オブザーバーでは財務省、金融庁、日本銀行、経済産業省、総務省、弁護士事務所などの有識者に参加をいただくかたちで発行方式や社会的な有効性、安全性など活発な議論がされました。
座長の山岡様には民間銀行の預金をトークン化するという方向性を示していただき、官民横断の議論を主導していただきました。ここで示された方式を二層構造デジタル通貨プラットフォームと名付け、当社はプロダクト開発を開始、デジタル通貨勉強会はデジタル通貨フォーラムとして発展的改組を行い、ユースケースの検討や検証を行いました。デジタル通貨フォーラムは現在100社以上の企業が参加しています。
DCJPYホワイトペーパー(初版)発行
デジタル通貨勉強会で民間銀行預金をトークン化する方式でデジタル通貨を実現することを提唱してから一年後の2021年11月にデジタル通貨フォーラムはホワイトペーパーとプログレスレポートを公表しました。
メガバンクなどの大手銀行と一年かけて発行方式を協議、具体化し、金融庁や有識者から法制度のアドバイスを受けるという活動を繰り返した成果がDCJPYのホワイトペーパーです。また参加企業と複数の検討分科会を立ち上げ、ビジネス利用の観点で様々なユースケース検討を行った成果がブログレスレポートです。デジタル通貨フォーラム参加の金融機関、事業会社、オブザーバーの方々には多大なるご協力をいただき、実現に向けた道を一歩進むことができました。
概念検証(PoC)の実施
ホワイトペーパーで示した発行・移転方式をベースに開発したプロダクトで複数のユースケースを検証する取り組みがPoC(Proof of Concept:概念検証)です。目的は開発したプロダクトの動作検証と、デジタル通貨フォーラムの各分科会で検討したビジネスユースケースの検証の2つです。2022年〜2023年に十数件のPoCを行い、プロダクトとビジネスの有効性を確認できました。
デジタル通貨フォーラムのサイトにあるプログレスレポートに分科会の活動とPoCの内容が掲載されています。
次回は、商用化のベースとなった2023年に発行したホワイトペーパーをご紹介します。