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次世代インターネット「Web3」とは?

デジタル通貨のことや、デジタル決済やデジタルトランスフォーメーション(DX)など、お金のデジタル化にまつわる質問にお答えしていくコーナーです。

今回は次に来るインターネットと呼ばれる「Web3」です!
「Web3」についての記事は今までもDeBeyondでいくつか発信させて頂きましたが、仕組みについて簡単にQ&Aをまとめましたので、移動時間や空いた時間にぜひ読んでいただけますと幸いです!


Q.Web3とは何ですか?

A.ブロックチェーン技術を活用した次世代のインターネットの概念を示すものです。

Q.Web1.0 / Web2.0とは?

A.Web1.0とは、1990年代から2000年代前半ごろのインターネットの黎明期を指す概念です。テキストサイトや静止画が中心であり、情報の流れが発信者から受信者へと一方通行であるため、「読み取り専用」のウェブとも言われます。

2000年代半ば頃から出てきたWeb2.0では、ユーザーインターフェイス(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)が劇的に改善されたことと、SNSの普及により個人が情報の発信者であると同時に受信者としてリアクションやコメントをする「双方向のコミュニケーション」が主体となりました。

2007年のiPhoneの誕生とほぼ時を同じくして「Facebook」や「Twitter」といったSNSも登場し、いつでもどこでも誰とでも手軽にコミュニケーションができるように進化しました。また、Amazonのクラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」も同時期に出現し、オンプレミスのように自社でハードウェアなどの初期投資をする必要がなく、クラウドサービスを活用した開発が主流になりました。

こうした背景から、Web2.0は「SNS・クラウド時代」とも称され、Google、Amazon、Facebook(現Meta)、Apple、Microsoftといったビッグテックがプラットフォーマーとして台頭しました。

Q.なぜWeb3が生まれたの?

A.コミュニケーション方法が飛躍的に向上した一方で、Web2.0の発展により個人のデータが特定のプラットフォーマーに集約される「中央集権型の支配的な構造」になり、個人情報の扱いが不明瞭になりました。

サービス運営者であるプラットフォーマーにデータが集約され、セキュリティリスクが高まり、データビジネスの利権が集中しました。また、アカウント停止の権限や、投稿やフォロワー情報の扱いなどが制御されるようになりました。

このようなWeb2.0の課題を解決するために生まれたのがWeb3です。特定のプラットフォームにデータが集約される中央集権型ではなく、ユーザー個人がデータを保持、管理していく分散型(非中央集権型)の構造を指す概念です。

Q.分散型(非中央集権型)の仕組みとは?

A.特定のプラットフォーマー(サーバー)を介さずにネットワークを形成するために、Web3ではそれぞれのコンピュータ(PeerまたはNode)同士で対等に通信を行う分散型の「Peer to Peer(P2P)」ネットワークが形成されています。

Q.Web3のセキュリティは?

誰でも参加可能なパブリックなP2Pネットワークは公正である一方、不特定多数の人が接続するため、悪意のあるユーザーが参加したり、接続先のノードのセキュリティに問題があったりする可能性があります。そこで、P2Pネットワークの安全性を担保するために活用されているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンは、全ての取引情報を記録するためのネットワーク共通のデータベースです。記録後のデータの改ざんが非常に困難であることから、取引データの真正性を守る構造的な工夫が施されており、Web3の重要な根幹技術の一つです。

Q.Web3の特徴は?

A.特定の管理者が存在しないWeb3の世界では、匿名性の高いウォレットIDで情報を管理するので、個人情報が守られます。そして、特定のECサイトやネットバンキングを介さず、国境を越えた直接送金や物品販売が容易になります。

Web3の最大の特徴は、P2Pネットワーク上で各ノードが全く同じデータを保存していることです。Web2.0までのインターネットでは、Web1.0で出現した「TCP/IP」や「HTTP」など世界標準プロトコル(共通のルールや約束事)の上のレイヤーに、SNSなどのアプリケーションが構築され稼働しています。つまり、Web2.0ではこのアプリケーションの精度とサービスの利便性を高め、より多くのユーザーを取り入れてデータを独占することで競争優位性を高めていました。

しかし、Web3に新たに加わったプロトコルであるブロックチェーンは参加者全員が等しくアクセスできるデータベースであるため、共通のデータを使って誰でもアプリケーションを生み出すことが可能で、他のアプリケーションに乗り換えるスイッチングコストも低いです。

また、ブロックチェーンは独自でNFT(Non Fungible Token)やセキュリティトークンなどの「トークン」を発行・交換できることも革新的です。これにより、アプリケーションではなくトークンによってサービスが選ばれるといった変化が起きつつあります。

これらが、ブロックチェーンが今までのインターネットの構造を逆転させるほどの破壊力をもたらし得ると言われる所以です。

Q.Web3のサービスとは?

A.Web3ではトークンを活用したサービスや組織が続々と誕生しています。その一例が、コミュニティ内のサービス利用のための権利や機能を持つ「ユーティリティトークン」を発行する自立分散型組織「DAO(Decentralized Autonomous Organization)」です。

DAOには特定の管理者が存在しない代わりに参加者は「ガバナンストークン」を保有することで組織の意思決定に関わることができます。コミュニティが活性化するとトークンの価値も上がってさらなるトークンが得られるなど、コミュニティごとにうまく機能するためのインセンティブ設計が成されています。

また、Web3の金融サービスとしては「DeFi(Decentralized Finance)」が挙げられます。DeFiはブロックチェーンを基盤に、取引や手続きを自動化する仕組み「スマートコントラクト」が実装されているため、銀行や証券会社のような特定の仲介者を通さず運営されています。

Web3のエンターテイメント領域では、NFTが話題です。NFTとは、デジタルアートやゲームなどのアイテム情報をブロックチェーンに記録することで、複製できない唯一無二の資産価値としてNFT取引所などで自由に売買できます。

加えて、NFTのような一意性を証明するトークンによってIP(Intellectual Propert )のあり方や考え方が大きく変わると注目されています。プラットフォーマーやブランド企業が多くのIPを所有していたWeb2.0と異なり、Web3ではコンテンツを作ったクリエイターに権利が帰属することが増えてくると期待されています。

Q.Web3の現状の課題は?

A.日本ではWeb3の事業を進めるためのルールが未整備です。その現状を鑑みて、2022年7月に経済産業省内に「大臣官房Web3.0政策推進室」が設置されました。今後はWeb3に関連する環境整備が徐々に進んでいくものと期待されます。

また、現在のWeb3サービスは日常生活に浸透するようなサービスがまだ少ないため、使いこなすのが難しく、利用までのハードルが高いです。

しかし、すでにNFTやメタバースへ大企業が続々と事業参入していることからもWeb3の市場は広がっていくと予想されます。今後、日常生活に身近なサービスとして提供されてくれば利用者も増加し、Web3の世界は世の中に浸透していくでしょう。

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