実践!Googleが導入した「OKR」
プロダクト開発部門の「OKR」担当はエンジニア
ハナエ:竹原さんはプロダクト開発部門の「OKR」を担当されていますが、普段は何をされていますか?
竹原陽道(以下、竹原):本業はクラウドエンジニアとしてプラットフォームのインフラを支えながら、SREとして業務改善に取り組んでいます。
ハナエ: SREとはどのようなことをやっているんですか?
竹原:エンジニアは大きく分けて、プログラミングでアプリケーションを書いてサービスをつくるアプリケーションエンジニアと、アプリケーションを提供するためのサービス基盤をつくるインフラストラクチャーエンジニアの二つがあります。
しかし、アプリケーションエンジニアはどんどん新しい機能をリリースして良いものをつくっていきたいと思う反面、それを運用しているインフラストラクチャーエンジニアは、システムを安定的に稼働するために品質が保証できないものはリリースしたくない、みたいなぶつかり合いがあったりします。
ハナエ:エンジニア間でそんな葛藤があるんですね!?
竹原:このような現場の対立をなくし、柔軟でスピーディーにシステム開発を行えるようにと生まれたのが「Site Reliability Engineering (サイト信頼性エンジニアリング)」の頭文字を取ったSRE、あるいは「開発(Development)」と「運用(Operations)」を組み合わせてDevOps(デブオプス)と呼ばれたりします。
ハナエ:開発現場の”潤滑油“のような存在なわけですね。
竹原:そうです。それぞれの文脈を翻訳して双方に伝えることで、システムを安定稼働させつつ効率よく新しいプロダクトをリリースしていくのがSREの主な仕事です。
目標管理ツール「OKR」とは?
ハナエ:そんなガチのエンジニアさんが、目標管理ツールを担当されているというのは興味深いですね。
竹原:私はプロダクト開発部門のOKR担当なので、会社全体としてはほんの一部です。前職のIT企業でもOKRが取り入れられており、ディーカレットDCPがOKRを導入し始めた時に熱意を燃やしていろいろと提案していたところ、気づけば担当になっていました(笑)。
ハナエ: そんないきさつがあったのですね(笑)。そもそも、OKRとは何でしょうか?
竹原:GoogleやFacebookをはじめとしたシリコンバレーの著名企業が導入したことで注目を集めた目標管理ツールです。「Objective(目標)」と「Key Results(主要な成果)」の略称で、一つの目標(O)にいくつもの主要な成果(KR)が紐付けられるかたちで構成されています。
同じく目標達成プロセスを計測する手法として有名なKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は目標達成率を100パーセントに設定していますが、OKRは「適正な難易度」である60〜70パーセントの進捗率が理想だとしています。頑張れば達成できそうな範囲にあえてすることで、モチベーションの維持を図っています。
社員一人ひとりが、会社のVision, Mission, Valueと、デジタル通貨の実用化に向けたスケジュールを理解し、自分ならどう貢献できるか自発的に考えながら、個々の意識を上げるというところと、組織の連帯感を強化する目的で去年の中頃から導入を始めました。
ボトムアップ型の目標設定
ハナエ:具体的には、どのように目的管理を進めているのですか?
竹原:まず会社のトップオブジェクティブとして「オールジャパンで通用するDCJPY*1 マーケットプレイスプラットフォームを提供する」があります。このトップオブジェクティブに付随して、部署やチームごとの目標を決めていきます。各組織の目標を達成するためにさらに個々人の目標に落とし込む階層構造になっています。
ハナエ:トップダウン型なのですか?
竹原:ヒエラルキー構造だけ見るとそう思えてしまうのですが、OKRはメンバー全員で組織目標を決めるので実際はボトムアップ型です。自分の意見や想いが反映された目標なので成果を上げるためのアクションを自発的に起こしやすく、個人が活躍できるような構成になっています。
プロダクト開発部門の目標設定
ハナエ:プロダクト開発部門ではどのような目標を立てていますか?
竹原:プロダクト開発部門のオブジェクティブは、「持続可能で革新的なDCJPYプラットフォームのコアを構築する」です。ここに「持続可能」と「革新的」のキーワードが入っていることがポイントです。
ハナエ:どういうことでしょうか?
竹原:目標を狭く設定してしまうと、それに伴って行動範囲も限定的になってしまいます。そのためOKRでは、到達可能そうなレベルより少し高めの「野心的目標(ストレッチゴール)」を設定するのが特徴です。
「DCJPYプラットフォームのコアを構築する」だけでは何か物足りないなと感じ、より発展的で未来的な「持続可能」と「革新的」というワードを入れることを提案しました。
ハナエ:確かに「持続可能」と「革新的」という言葉があることで、ただのプラットフォームではなく、“時代に合わせて進化しながらずっと使い続けられるプラットフォーム”ということが想像しやすいですね。
竹原:目標設定の目線を少し上げることで、挑戦しようという意欲が高まり、チーム全体の士気やモチベーションも高めることができるわけですね。また、エンジニアも日々いろいろな開発を手掛けなくてはいけないなかで、会社や部署の目標といった広い視野から自分のやるべきことを振り返るきっかけになっていると思います。
ハナエ: オブジェクティブは定期的に見直しをしているんですよね?
竹原:個人のOKRの目標と指標に関しては主に1on1で上司と定期的に見直していて、プロダクト開発部門では3ヶ月に1回、人によっては半年に1回などもう少し長いスパンの人もいます。今はトライアル期間なので、目標設定や評価は各部署によって異なるのが現状です。
OKRの課題と成果
ハナエ:プロダクト開発部門のOKR担当としてどんな課題を感じて取り組んでいますか?
竹原:私は日々、部署のなかでどのように運用すれば有用なのか考えています。なぜなら、OKRに取り組むにはそれなりの時間を要するので、忙しい社員にとってその労力にあった効果をどうしたら得られるのか常に意識するようにしています。
今回のように部署が違っても定期的に集まり、お互いの目標や課題などを共有しあうことで、より一丸となって商用化に向けた開発に取り組むことがでていると感じています。
ハナエ: OKRを実践してみて、どのような成果や反響があったと感じますか?
竹原:これまでは、同じグループでも隣の部署が何をしているか見えづらい部分がありました。しかし、OKRを取り入れたことで、仕事内容やどのような目標を掲げて課題に取り組んでいるかが分かり、人となりを感じられるようになりました。そのお陰で、新たなコミュニケーションも生まれています。
ハナエ:最後に竹原さんのプロダクトへの想いもぜひ教えてください。
竹原:私は入社前にディーカレットDCPのビジョンを見た時に素直にすごいな、本気で革命を起こそうとしているなというところにとても惹かれました。
ディーカレットDCPはさまざまなバックグラウンドを持つ人たちが多く、入社してもハイレベルな方々ばかりなので日々成長しながら、自分たちの目標を成し遂げられているなと思います。
今後もOKRなどを通して一致団結しながら、お客さまに良いサービスを届けられるよう精進していきます。
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