【note記事まとめ】クリエイターエコノミーまとめ
2年ほど前に巻き起こったNFTブーム。その後、熱狂的なバブルは弾けてその勢いは下火になったと言われていますが、NFTそのものは、クリエイターに直接的かつ永続的な収益源を確立できるポテンシャルを秘めています。
NFTが新たな可能性を見出したことで再度注目されるようになったのが、個々のクリエイターが直接収益を得る新しい経済圏「クリエイターエコノミー」です。もともとはインターネットやSNS、YouTubeなどのデジタルプラットフォームの発展によって生み出されたものでしたが、ブロックチェーンといった新技術でその実現の解像度は高まりつつあります。
クリエイターエコノミーを後押しすべく、俳優の別所哲也さんが代表を務めるビジュアルボイスが主催をしている米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア2024」で「Amic Sign(アミック・サイン)アワード」を新設しました。
そこで今回は、現在のクリエイターエコノミーの動向についてnote記事を集めました。
個人が個人を応援する「クリエイターエコノミー」と市況感
まず初めに、小松総合印刷さんが発行している「販促プラス」の記事のご紹介です。インフルエンサーを含む個々のクリエイターが活躍し収益を上げるクリエイターエコノミーでは、消費者と生産者の境界がなくなり、多様なプラットフォームと共存・共生しながら自社サービスを展開することが求められていると言います。
Taiki Narita / Founder of iscream, Inc.さんは、Web1.0からアテンションエコノミー、ギグエコノミーといった新たな経済が生み出されていた変遷をたどり、価値が分散化するWeb3.0では真に個人中心の経済であるクリエイターエコノミーがさらに成長していくと見ています。
そのベースとなるブロックチェーンやNFT、DeFi、メタバースなどのトピックに焦点を当て、これらの技術がクリエイターエコノミーをどのように変革し、新しい機会を生み出しているかについて詳述します。
鹿島幸裕(note CFO)さんは、クリエイターエコノミーの萌芽が見られた情報流通の変化を、スタンフォード大学ビジネススクールで肌で感じたと言います。クリエイターエコノミーが推し進める「個」のちからの源泉とそれを後押しする背景とは?
では、クリエイターエコノミーの市場はどのように捉えられているのでしょうか?一般社団法人クリエイターエコノミー協会さんは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社とともに、日本で初めてクリエイターエコノミーそのものの市場規模を調査しました。2023年の調査結果では国内クリエイターエコノミーの市場規模は1兆6,552億円で、前年比21.9%増にのぼると見込んでいます。
2023年のクリエイターエコノミーのグローバル市場は2110億ドル(約28.7兆円)に達するとの予想も出されました。日本政府もまた2022の「骨太方針」で「クリエーターの創作活動の支援」を推進対象として明記するなど、クリエイターエコノミーを後押しする動きが見られます。池 辰彦さんが、加速するクリエイターエコノミーの動向をまとめています。
株式会社PoliPoliさんは、日本のクリエイターエコノミーを推進するクリエイターエコノミー協会事務局長の淺井健人さんに、クリエイターエコノミーの現在地や新しい経済として特定商取引法などのルールメイキングの成果、今後の展望についてインタビューで伺っています。
クリエイターエコノミーを加速させるNFT
クリエイターとファンが独自のコミュニティを築き、クリエイターを直接支援する新たな関係性を生み出すための重要なツールとしてNFT(Non-Fungible Token:非代替トークン)があります。Nekotaさんは、NFTがクリエイターとファンが相互にコミュニケーションを取りながら、新しい価値を共有するプラットフォームとして機能していると述べます。
山口哲一:エンターテック✕起業さんは、「月刊COPYRIGHT」の巻頭インタビューで、著作権とブロックチェーンについて語った記事を掲載。NFTの基盤技術であるブロックチェーンは耐改ざん性があるため、著作権の証明や利用許諾の契約を管理する基盤として機能します。
これにより、クリエイターはプラットフォームを介さずに自らの作品を管理・販売でき、収益化の新しい道を開いたり、クリエイター主導のビジネス生態系がつくれるようになります。さらには、日本が秀でている分野である「n次創作」がNFTで加速されることで日本発のエンタメ生態系が生み出せるのではないかと展望します。
また山口さんが、日本のお家芸であるn次創作を活かしてIPを日本の基幹産業にしていくのがいいのではないかと提言しているこちらの記事も興味深いのであわせてご覧ください!
トレーサビリティが取れ、自律的なスマートコントラクトを埋め込めるNFTはクリエイターがフェアに報酬を得るためにも欠かせない役割を果たしていくと考えられています。Ryo Konishi @ スタートアップファウンダーさんは、NFTを用いた新しいアートプロジェクト「meTAGraffiti」を紹介し、さらにそこから派生したマーケットの展開や社会貢献とエンターテインメントが融合された世界を描きます。
ファンダムレボリューションとクリエイターDAO
クリエイターエコノミーに欠かせないのがファンコミュニティです。ひとみ|気づきを発信さんは、日本におけるファンコミュニティの変遷を振り返りながら、ビジネスでやりがちなファンコミュニティの誤解を指摘します。
萬田大作 / 技術の力でマンガ家を支えたい!コミチ代表さんは、大谷翔平選手、映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」、ゲーム「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」、YOASOBIの楽曲「アイドル」など2023年の日本のエンタメ業界の躍進の背景にファダムの力があると論じます。
これは世界を席巻するK-POPにも言えることですが、なぜ「ファンダムの存在感が増している」のか?3段階のフェーズから分析しています。
このファンダムをWeb3の枠組みのなかで集約させ、加速させると言われているのがDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自立組織)です。
DAOはクリエイターやコンテンツ制作者が自らの作品を管理・販売し、ファンや支持者とダイレクトに経済的関係を築く新たな手段を提供します。これにより、クリエイターは中央集権的なプラットフォームに依存せずに、ファンダムをより直接的に経済活動に結び付ける「コンテンツプラットフォーム」を生み出せると堀 宏史さんは解説します。
クリエイターエコノミーを体験するメタバース
クリエイターエコノミーをバーチャルで体験する場として「メタバース」があります。農情人さんは、NFTプロジェクト「あおぱんだ」がメタバース化したオンラインゲームとも言われるフォートナイトに進出した事例を取り上げ、クリエイターエコノミーに新たな可能性をもたらしていることを説明しています。
メタバースへの進出は、クリエイターにとって新しいファン層の獲得やIPの認知度向上、マネタイズの機会を広げるものであり、NFTとメタバースの組み合わせが、Web3の理念に沿ったクリエイターエコノミーの新たな展開を示しています。
最後は、メタバース文化やバーチャルリアリティに関する情報を発信し、独自のファンコミュニティをつくり上げている著名なVTuber(バーチャルYouTuber)であるバーチャル美少女ねむ/Nem⚡メタバース文化エバンジェリストさんの記事です。
自分の個性や好みを反映させたアバターを通してユーザ同士で交流できるオンラインプラットフォーム「VRChat」は、クリエイター向けに有料サブスクリプションを導入しました。これは、クリエイターが自身の作品やサービスを直接収益化し、ファンとより深い関係を築く新しいクリエイターエコノミー構想の第一弾です。
大きな一歩を踏み出しましたが、50%の手数料を取る”プラットフォーム税”の高さや、アバターなどのクリエイティブなコンテンツの「商用利用」に関する懸念といった課題が指摘されています。
一方で、バーチャル美少女ねむさんが行った「ソーシャルVRライフスタイル調査2023」では、現在収入を得ているメタバース住人の割合は26%とまだ多くありません。そのうちで「年間10万円以上」はわずか7%です。今回のメタバースにおける経済活動の萌芽が今後どのように花開き、クリエイターエコノミーを盛り上げていくのか注目です。
免責事項 :本記事は、取り上げた事例やコンテンツ、製品を推奨したり、投資や金融商品の購入をアドバイスするものではありません。