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【FINTECH SUMMIT 2024 セッションレポート】デジタル通貨DCJPYネットワークの商用スタートと今後の展望

こんにちは。ディーカレットDCPの「DE BEYOND」編集部です。

2024年3月5日(火)から3月8日(金)の4日間、東京・丸の内にてフィンテックの総合カンファレンス「FINTECH SUMMIT 2024」が開催されました。

カンファレンスのテーマは「“幸福な”成長をもたらす金融」。植田和男日銀総裁、栗田照久金融庁長官をはじめとする金融行政の中核を担う方々と、国内外の企業、銀行、研究機関が集まり、デジタル通貨やデジタル資産、金融へのAI活用について活発な議論が交わされました。

今回はそのなかから、ディーカレットDCP代表取締役社長/インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)取締役副社長・村林聡による講演の模様をお届けします。


デジタル通貨フォーラムとDCJPYネットワークの歩み

村林 聡(以下、村林):本日はよろしくお願いします。このセッションでは、当社(ディーカレットDCP)が開発を進めているデジタル通貨DCJPY(仮称)ネットワークの商用スタートと今後の展望についてお話します。まずは当社について簡単にご紹介させてください。

ディーカレットDCP代表取締役社長の村林聡

当社は民間デジタル通貨をブロックチェーン上で発行・流通させるDCJPYネットワークの提供を通じ、日本全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)と経済を発展させるのが目標です。

具体的にはST(セキュリティトークン)、NFT(非代替性トークン)といった新しい価値のデジタル化と、電子インボイスなどに代表される商流のデジタル化、さらに通貨のデジタル化を連携させることによって取引決済における社会的なコストを低減し、新たな価値を提供していきます。

当社が事務局を務めるデジタル通貨フォーラムはこれまで100社以上にご参加いただき、DCJPYネットワークの独自の二層構造の設計や、PoC(Proof of Concept:概念実証)の実施を通じて、サービスの商用化に必要な要件を固めてきました。

昨年10月には商用化一号案件を発表し、サービスの技術的要件や想定されるユースケースをまとめた『DCJPYホワイトペーパー2023』を発行。現在はフォーラムの座長を務められる山岡浩巳さん(フューチャー株式会社取締役)や多くのアドバイザー、金融庁をはじめとするオブザーバーのご支援をいただきながら、今年7月のサービスインに向けて準備を進めています。

DCJPYホワイトペーパー2023関連記事 ▷ https://note.decurret-dcp.com/m/m04df230791c7

地域振興からサプライチェーンまで。分科会の取り組み

村林:続いて分科会での活動についてご紹介します。デジタル通貨フォーラムでは民間デジタル通貨の活用が想定される業種・分野ごとに分科会を立ち上げ、企業や自治体と協力しながらPoCを行ってきました。

例えば地域通貨分科会では、スマートシティ構想を進める福島県会津若松市、宮城県気仙沼市とともに子育て給付金や、食のマッチングサービスにデジタル通貨を活用するPoCを実施。行政事務分科会では東京都と協業し、フィンテックベンチャーへの支援金にデジタル通貨を用いる実証実験を行いました。

デジタル通貨フォーラム プログレスレポート第3号 ▷
https://www.decurret-dcp.com/.assets/forum_20230719pr.pdf

皆さまがご存じのとおり、行政からの給付金や支援金は特定の目的のもとに支給されています。そこにデジタル通貨を活用すれば、スマートコントラクトによる使途制限、ブロックチェーンに記録される情報の透明性といったデジタル通貨ならではの特性によって、政策としての効果も高められます。

また、小売・流通分科会、産業流通における決済分科会のPoCでは、サプライチェーン決済にデジタル通貨を用いることで、ビジネスプロセスの70%から80%を効率化できることが実証されました。

デジタル通貨フォーラム プログレスレポート第2号 ▷
https://www.decurret-dcp.com/.assets/forum_20230131pr.pdf

この取り組みは本日プレスリリースしたインボイスチェーン分科会へと発展させ、将来的には会計システムが異なる企業間の商取引にもDCJPYネットワークを利用できるようにしていきたいと考えています。

企業間取引のDXプラットフォーム構築に向けインボイスチェーン分科会を設立 ▷ https://www.decurret-dcp.com/dcforum/nl-20240306.html

DCJPYネットワークは決済+ビジネスのインフラ

村林:続いてDCJPYネットワークについてご紹介します。DCJPYネットワークは、民間事業者や個人のユーザが利用するシステム、アプリケーションと、民間銀行の預金システムにサンドイッチされるかたちで存在し、さらにフィナンシャルゾーン、ビジネスゾーンの二層に分かれています。

フィナンシャルゾーンは、民間銀行の預金をブロックチェーンに乗せたデジタル通貨そのものの領域です。ユーザが銀行の口座預金をフィナンシャルゾーンの口座へ振替すると、ブロックチェーン上に預金をトークン化したデジタル通貨が発行されます。

一方のビジネスゾーンはユーザがスマートコントラクトを実装したり、独自のアセットを発行したりできる領域です。この2つのゾーンが連動することで、ユーザは銀行預金をそのままリアル・デジタル両方の取引に用いることができます。

あわせて、DCJPYネットワークにはAMICという4つのコア要素があります。「A」はアセット、「M」はマネー、「I」はID、「C」はコントラクトの頭文字です。

ビジネスゾーンを利用するユーザは自らアセットを発行し、マネー、つまりトークン化預金で決済することが可能。アセットとマネーはともに銀行でKYC(本人確認手続き)されたIDに紐付けて管理され、それぞれコントラクトによって動かすことができます。

つまり、DCJPYネットワークは単にデジタル通貨を発行し、決済するだけのサービスではありません。ユーザは資産をデジタル化し、銀行が担保する信頼のもと、これまでの会計処理の仕組みを変えることなく迅速にビジネスを立ち上げられます。

昨日、日銀の植田総裁も講演のなかで触れられていたように、法定通貨をデジタル化したトークン化預金は世界的に注目を集めています。DCJPYネットワークはその先駆的な存在であり、日本初の商用化に向けて準備を進めているところです。

二次流通を見据えた環境価値のトークン化

村林:ここからはDCJPYネットワークの商用化案件と、今後の展開についてご紹介します。IIJとディーカレットDCPはGMOあおぞらネット銀行との協業のもと、非化石証書などの環境価値をトークン化し、DCJPYで決済するサービスを今年7月から開始します。

GMOあおぞらネット銀行 sunabar コミュニティイベント「ディーカレットDCPと語る、民間デジタル通貨の変遷」セミナーレポート ▷ https://note.decurret-dcp.com/n/ne1b475eb2a85

IIJは日本で初めてISP(インターネットサービスプロバイダ)の商用サービスを提供した会社です。今年で創業31年目を迎えました。現在ではインターネット接続に欠かすことのできないネットワーク事業、クラウド事業、セキュリティ事業、モバイル事業、インテグレーション事業を包括的に展開しています。

また、業界に先駆けて環境対策にも取り組み、オンサイトでの再生可能エネルギー電力の発電とオフサイトでのPPA(電力購入契約)による再エネ電力調達、さらに大容量の蓄電池を組み合わせる「カーボンニュートラルデータセンターリファレンスモデル」を構築。基幹施設の白井データセンターキャンパスは、業界でも先進的な省エネルギー、CO2削減の仕組みを実現しています。

こうした取り組みを背景に生まれたのが、今回の商用化案件です。IIJは再エネ電力の環境価値をJEPX(日本卸電力取引所)から代理調達し、データセンターのお客様に環境価値トークンとして割り当て、GMOあおぞらネット銀行が発行するDCJPYで決済を行います。

まずは非化石証書とボランタリークレジット* からスタートしますが、将来的には環境価値の二次流通も見据え、発電から国への報告、償却までトークンだけで完結するサービス展開を目指しています。

このサービスにより、再エネ電力の発電事業者は環境価値がどのように利用されたか把握できますし、小売事業者にとっては新規顧客の獲得、システム開発コストの削減につながるはずです。また、需要家にとっては真正性とトレーサビリティが担保された環境価値を入手できるメリットがあると考えています。

*ボランタリークレジット:政府や行政ではなく、企業やNGOなど民間組織が運営するカーボンクレジット。

ファイナンスとマーケティングを融合させる自己募集型デジタル証券

村林:もう一つの案件は、今年1月末にプレスリリースしたSecuritize Japanとの提携です。ディーカレットDCPは、デジタル通貨で決済する公募自己募集型デジタル証券の提供に向けて、STの先駆的なプラットフォーマーであるSecuritize Japanとパートナーシップを結びました。

証券取引には、証券の受け渡しや保管、清算を安全に行うための仕組みが欠かせません。現在は取引所や取引所の関係機関がその役割を担っていますが、自己募集型のデジタル証券なら、発行元と投資家が直接コミュニケ―ションをとることができます。

また、社債を小口化し、自社の製品やサービスを特典として投資を募るといったマーケティング的要素も生まれますし、さらにデジタル通貨を用いることで決済コストの削減にもつながります。公募自己募集のハードルとなる投資家のKYCについては、先ほどお話したAMICのIDが大きな役割を果たすでしょう。

デジタル通貨で決済する公募自己募集型デジタル証券の提供に向けた連携開始について ▷ https://www.decurret-dcp.com/news/nl-20240130.html

あらためてDCJPYネットワークの今後の展開としては、まずフェーズ1として環境価値のトークン化とデジタル決済を7月からスタートします。続いてフェーズ2ではST、NFTといった新しい価値を取り扱うビジネスとの連携を進め、フェーズ3ではサプライチェーンなど、既存の経済圏との連携に取り組んでいく予定です。

これによってあらゆる価値をデジタル化し、豊かな社会をつくる日本のDXに貢献していきたいと考えています。

本日はありがとうございました。

村林 聡(株式会社ディーカレットDCP代表取締役社長/株式会社インターネットイニシアティブ取締役副社長)


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