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キャッシュレス決済とデジタル通貨は何が違うの?

デジタル通貨やデジタル決済、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、お金のデジタル化にまつわる質問にお答えしていくコーナーです。今回は「キャッシュレス決済とデジタル通貨の違い」についてお伝えしていきます!

Q.キャッシュレス決済とは何ですか?

A.お札や小銭といった現金を使用せずにお金を支払うことです。クレジットカード、デビットカード、電子マネーやスマートフォン決済などがあります。

Q.電子マネーとは?

A.現金や預貯金、クレジットカードなどから入金(チャージ)することによって現金をデータ化し、その電子データを通信上(オンライン)でやり取りすることで現金と同じようにモノやサービスへの支払いができるキャッシュレス決済です。

種別としては、「交通系」と呼ばれる主に電車など交通機関で使われるものが一つあります。代表的なものは、SuicaやPASMOです。

また、「流通系」と呼ばれる主にスーパーやデパートで使える電子マネーがあります。発行企業のグループ店や加盟店で使うことでポイント付与や還元、ポイント値引きなどのサービスが受けられるものも多くあるのが特徴です。代表的なものは、WAONやnanaco、楽天Edyです。

クレジットカードでチャージする「クレジットカード系」と呼ばれる電子マネーもあります。現金からチャージする必要がないため、例えばApple Payを通してiPhoneで支払うなど、スマートフォン決済も可能になります。その他には、iDやQUICPayなどがあります。

また、スマホアプリとクレジットカードや銀行口座と連携させることでスマホで支払いを完結できる「QRコード決済系」と呼ばれるものもあります。代表的なものは、Paypayや楽天ペイ、LINE Payなどです。

Q.電子マネーのチャージ方法とは?

A.電子マネーには主に3つのチャージ方法があります。一つが「プリペイド型(先払い式)」というICカードやスマートフォンに前もって必要金額をチャージし、店舗の機械で読み取って支払う方法です。

その反対に後から支払うものを「ポストペイ型(後払い式)」と呼びます。クレジットカードや、クレジットカード系の電子マネーがこれに当たります。予めチャージする必要がなく、使用した金額を後からクレジットカード会社に支払います。

もう一つが「デビット型(即時払い式)」で、デビットカードのように決済直後に銀行預金から支払った金額が自動で引き落とされます。

Q.電子マネーも「デジタルのお金」じゃないのですか?

A.オンラインで決済を完結させるという意味では「デジタルのお金」ですが、裏側のやり取りも含めてデジタル化されていないという点で、デジタル通貨とは異なります。これは、キャッシュレス決済全般に言えることです。

Q.キャッシュレス決済の裏側の構造がデジタル化されていないとは?

A.キャッシュレス決済は表面的にはデジタル上でお金が動いているように見えますが、代金を消費者が直接支払っているわけではなく、キャッシュレス決済企業が立て替えて、後で店舗に支払っています。

クレジットカードの例で見てみましょう。消費者が店舗で商品を購入し、クレジットカードで支払った場合、その直後に商品代が店舗の口座に送金されるのではなく、後日、まとまったサイクルで支払われます。そして、消費者がクレジットカード会社に支払うのも、決められたサイクルで口座から引き落とされます。

また、クレジットカードで電子マネーにチャージするなど、キャッシュレス決済が増える度に裏側のやり取りも倍々に増えていき、それに伴って手間とコストもかさんでいきます。このように、キャッシュレス決済にはコスト高になる構造があるのが現状です。

つまり、デジタル上で動く数字と、裏で実際に動いている送金システムの稼動が連動しておらず、裏側の仕組みまでデジタル化されない限りは本当の意味でのDXを達成することが難しいと言えます。

Q.ユーザーからしたら、裏側の仕組みがアナログでも、便利であれば正直あまり関係ないと思いますが…?

A.確かにキャッシュレス決済のシステムの問題は、金融機関やキャッシュレス決済を取り扱っている事業者の方が直接的な影響は大きいと思います。

しかし、キャッシュレス決済にかかる手数料の多くは加盟店が負担しており、その分のコストを販売価格に乗せているケースもあります。

また本質的なDXをして社会全体がデジタル化の恩恵を受けるためには、表に見える部分だけではなく、裏側も一緒に変わっていく必要があります。

Q.その他にキャッシュレス決済の課題はありますか?

A.キャッシュレス決済は多くの事業者が参入しています。それ故に店舗によって使える決済サービスが異なっていたり、電子マネー同士の相互連携があまり進んでおらず、それぞれのICカードや決済アプリに都度チャージしなければならず、わずかな端数が使われずに残ってしまうことも多いです。

また、裏側のアナログな仕組みによって支払いや受け取りにタイミングのズレが生じ、資金の回転率も下がります。このようなコスト高で非効率な構造をシンプルにしたいというのがデジタル通貨の根底にあります。

Q.デジタル通貨だとどう変わるのですか?

A.裏側も一気通貫にデジタル化することでコストが抑えられ、デジタル通貨が社会インフラとして整えば基本的にはどこでも使えるようになるため、店舗ごとに決済方法を選ぶ必要がなくなります。

また表と裏がデジタルでつながるということは、決済だけでなく、それに付随する作業も圧倒的に少なく効率的に行うことができます。例えば、スマートコントラクトという自動契約機能をデジタル通貨の根幹の技術であるブロックチェーンに付けることで、支払いだけでなく契約の実行まで自動でできるようになります。

そうすると、納品と同時に決済が自動で完了する即時支払が可能になり、後で精算する「掛売り」「掛買い」などの必要がなくなるので、資金の回転率を上げることにも寄与します。また、契約の履行とともに会計・法務処理を自動で行うこともできるため、事務処理の手間が大幅に軽減することも可能となります。

また、ブロックチェーンに直接プログラミングすることができるのでユーザー自ら機能を追加・変更することができます。例えば、月々の支払いのタイミングもこれまでは事業者の都合に合わせていたのをユーザー側で指定ができたり、一括払いだけでなく月に3回分けるなどこれまで以上に細かくオプションの選択や追加が可能となります。

このように、サービス提供側だけでなくユーザー側が能動的に決済行為に参加できるようになるため、デジタル通貨は“決済の民主化”であると言えます。

(注)記事内の事例は特定の会社を指しているわけではなく、あくまで一般的な想定事例です。

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