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有識者対談・インタビュー

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Web3への移行が本格化する世界において、より良い社会の実現に向けてチャレンジしているキーマンや有識者の方々とデジタル技術が未来社会について自由に語り合う対談コンテンツ。ディーカ… もっと読む
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#電子マネー

データドリブンが戦略的に変える、より良い都市や未来への投資

“サステナブルシティ”と名高いポートランド。ヒッピー文化が未だに根強く、クラフトマン気質で手仕事を大事にしている人が多いため「テック音痴」が多いとのこと。 「テクノロジーはあくまで道具で、物事の目的や根幹ではない」と語るのはポートランド市開発局(PDC)でサステナブル都市の最前線に関わっていた山崎満広さん。 しかし、都市開発にはデータ活用をむしろ積極的に取り入れてきたそうです。日本に本格帰国してアメリカと日本の制度・文化的な違いを経験した山崎さんに、アメリカの都市開発の

デジタル通貨が”なめらかに”ひらく、 コミュニティ運営のプルラリティ(多元性)

こんにちは、ディーカレットDCPのハナエです。 前回に引き続き、デジタル技術を駆使した「日本の新しいローカルコミュニティ」をデザインするNext Commons Labの林篤志さんにお話を伺っていきます。 新しいコミュニティ運営にブロックチェーンが必要不可欠! でも、実際、何にどうやって役立つんだろう? 新潟県旧山古志村のNFT活用事例を紹介しながら、ブロックチェーンが変えていく価値観・お金の流れ・コミュニティ運営のあり方を分かりやすく解説してもらいました。 旧山古志村

“シェアリングエコノミー”が世界的に進む背景と潮流

なぜ、今、“シェアリングエコノミー”なのか?ハナエ:そもそも「シェアリングエコノミー」って何なのでしょうか? 石山アンジュ(以下、石山):実はシェアリングエコノミー自体に確固たる定義は存在しないんですよ。何がシェアリングエコノミーで、何がそうでないかという線引きはとても難しい。日本でいう「お裾分け」も広義のシェアリングエコノミーだと言えます。ただ、インターネットを通じて「お裾分け的な個人間の取引」が現れはじめたのが2008年頃です。アメリカでAirbnbが生まれ、どんどん市

シェアリングエコノミーとデジタル通貨が開拓するフロンティア

可視化される「見えなかった価値」石山アンジュ(以下、石山):シェアリングエコノミーの仕組み自体は、使い方次第で良くも悪くも機能します。つまり、より安く他者の労力を使いたいという目的でシェアリングエコノミーを運営・利用することもできてしまう。なぜなら、価格を決める主体が企業ではないからです。しかし、私が視察をしてきたなかで、逆に良いところもたくさん見てきました。 石山:例えば、80代のおばあちゃんがAirbnbで貸し出している宿泊先では、おばあちゃん心を込めて掃除して、すごく

人口減少社会に必要な「信用ある基盤」とは?

人口減少社会のポイントは「余計なことに人手を割かない」時田一広(以下、時田):デジタル通貨の最大の特徴は「自分でお金に機能を付けることができる」という点にあります。例えば、今日は天気がいいからジュースの値段を少し上げようとか、夜は電車の利用客が少ないからその時間帯は運賃を下げて宣伝をして集客を上げようとか、そういった「機能」をお金にプログラミングによって付けることができます。 河合雅司(以下、河合):なるほど。お金の移動だけでなく、状況に応じて値段を変動させたり、個別の機能

人口減少社会でも豊かに暮らすための未来への処方箋

人口減少社会における暮らしの変化 河合雅司(以下、河合):今、日本は人口減少問題のトップランナーと言えます。ですから、これまでのように海外をロールモデルのようにすることはできません。ここからの20年は高齢化が深刻化し、さらにその後の20年は毎年90万人近く減っていく人口激減期に突入します。 毎年、仙台市ひとつ分くらいの人口が失われていく。さらにいうと、今後のマーケットは縮小するだけでなく高齢化もしていきますから、モノの消費量は二重の意味で減っていくことになります。日本がその