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Web3時代のアプリ「DApps」。その進化を加速させる「Solana」とは?

こんにちは。ディーカレットDCPの「DE BEYOND」編集部です。

今回取り上げるテーマはDApps(Decentralized Applications)。DAppsとはどんなもので、Google、Instagramといったこれまでのアプリとはどのような点で違うのでしょうか?DAppsのプラットフォームとして注目を集める「Solana(ソラナ)」とあわせてご紹介します。

まずはDAppsの概要から見ていきましょう。


Web3時代のアプリケーション「DApps」

DAppsは、ブロックチェーン技術を活用した分散型アプリケーションの総称です。利用者がタッチする部分、つまりUI(ユーザーインタフェース)はこれまでのアプリと変わらない一方、データをノード(ネットワーク参加者)に分散して動作させる点に特徴があります。

具体的な例としては、NFTゲーム、NFTのマーケットプレイス、DEX(分散型金融取引所)のアプリなど。これらDAppsには、Google、Amazon、Facebook(現・Meta)、Apple、Microsoftといったいわゆる「GAFAM」のような中央集権的な企業、管理者が存在しないDAO(Decentralized Autonomous Organization、以下DAO)と言われているものです。ユーザ同士は管理者を介することなく、スマートコントラクトを活用してデジタル化された権利や資産(NFTなど)を直接取引、即時決済できます。

また、DAppsのほとんどはオープンソースで開発されているため、誰でもプログラムを閲覧・利用することが可能です。

ちなみに中央集権的な管理者が存在しないDApps に対し、開発元が直接運営・管理する従来のアプリはCApps(Centralized Applications)と呼ばれます。また、DAppsを支えるスマートコントラクトの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

続いてはDAppsが私たちの生活にどういったメリットをもたらすのか、どんな課題があるのか、CAppsと比較しながら具体的に紐解いていきたいと思います。

DAppsのメリット

経済活動の幅が広がる

例えば、従来のCApps のゲームでは、プレーヤーが獲得したアイテムをゲーム内で売り買いすることはできません。これに対してDAppsの場合、アイテムやキャラクター、ゲーム内の土地(区画)までNFT化されていて、プレーヤー同士が直接取引できます。

また、NFTマーケットプレイスで販売されている著作物(楽曲、デジタルアート作品など)は、複数のユーザで所有権を分割して購入することが可能。さらに、いつ誰が創作した作品なのかブロックチェーン上に記録されるため、スマートコントラクトを用いることで、クリエイターは作品が転売される都度、知的財産権に基づく利益を受け取ることもできます。

これまでの枠組みにとらわれず、より自由でフェアな経済活動が可能になるのは、ブロックチェーンとスマートコントラクトを活用したDAppsならではのメリットです。

情報漏えいやデータの不正利用を防げる

CAppsはユーザの個人情報や行動データが開発元に集約されるため、サイバー攻撃などによって一度に大量の情報が漏えいしてしまうリスクがあります。実際、2018年にはFacebookの利用者約8700万人の情報が流出し、Meta社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏がアメリカの司法委員会に召喚されました。Facebookは2021年にもまた5億3000万人を超える個人情報が流出し、閲覧可能になっていたことが発覚しました。

一方、DAppsのデータは分散管理されるため、こうした大規模な情報漏洩は起こりません。また、管理者の都合によってデータがユーザに不利になるようなかたちで利用されたり、改ざんされたりするのも防げます。

DAppsの課題

トランザクション手数料がかかる

次に課題について見ていきましょう。

CAppsのなかには管理者(開発元)が広告収入や課金ユーザからの利用料を得ることで収益を確保し、無料配布されているアプリが数多くありますが、DAppsにはそもそもこうした管理者が存在しません。そのためデータ処理にかかるコストをユーザ全員で負担し合わなければなりません。

このコストはトランザクション(決済)手数料のことで、通称「ガス代」とも呼ばれています。例えばイーサリアムチェーンを基盤に開発されたDAppsの場合、取引1回につき数百円のトランザクション手数料が発生する場合があります。

スケーラビリティ問題により取引が遅延することも

こちらはブロックチェーンの仕組み上の課題です。ブロックチェーンのブロックに書き込めるデータ量は時間単位で限られているため、DAppsのユーザが増え、多くの取引が発生すると、データの処理に時間がかかり取引が遅延することもあります。

また、アプリの運営を維持するために、前述のトランザクション手数料が高騰してしまったりするケースもあります。

次世代のDAppsプラットフォーム「Solana」

ここまでご紹介してきたとおり、DAppsは自由でフェアな取引を実現し、情報漏洩やデータの不正利用を防げる反面、いくつかの課題もあります。こうした課題を解決し、DAppsをWeb3時代のアプリとしてさらに進化させていく基盤として注目されているのが、「Solana(ソラナ)」というブロックチェーン・プラットフォームです。

「Solana」の特徴は、処理速度が非常に優れていること。PoH(Proof of History)という独自のコンセンサスアルゴリズム*1 を採用することで、実測値ベースで1秒あたり約2600件(2024年3月26日時点)の取引を処理しています。これはイーサリアムチェーンの約170倍のスピードです。さらに理論上の性能としては1秒あたり5万件以上の取引を処理できるとされています。

*1 コンセンサスアルゴリズム:ブロックチェーンのノード間でコンセンサス(合意)を形成するための仕組み

加えて、トランザクション手数料も非常に安く、取引のたびに発生するコストがDAppsのユーザにとってネックになることもありません。

「Solana」は次世代のブロックチェーン・プラットフォームとして多くの企業や開発者から期待を集め、2020年のローンチ以来、多くのプロジェクトが提携。NFTゲーム、DEX(分散型取引所)のアプリなど、数々のDAppsが「Solana」を基盤に開発されています。

インターオペラビリティという付加価値

「Solana」に関してもう一つ注目したいのは、他のブロックチェーンとのインターオペラビリティ(相互運用性)が確保されている点です。「Solana」は2020年に「Wormhole」というクロスチェーンプロトコル*2 に対応し、イーサリアムチェーンとの間でトークンを移転させることができるようになりました。

*2 クロスチェーンプロトコル:異なるブロックチェーン間でトークンなどを往来させるための規格

今のところは暗号資産との相互運用にとどまっているものの、今後預金型トークンやステーブルコインのブロックチェーンと連携できるようになれば、Web3時代のエコシステムとして大きな役割を果たすかもしれません。

「Solana」で開発・運営されているDApps3選

1. STEPN(ステップン)

STEPN(ステップン)は2021年にリリースされたNFTゲームです。ユーザは「Solana」の基軸通貨である「SOL(ソル)」と引き換えにNFTスニーカーを購入し、スマートフォンを持って歩いたりジョギングしたりすることで、移動距離や時間に応じて「GST」という暗号資産を入手できます。

動いて稼ぐ「Move to Earn」の概念を取り入れたNFTゲームの先駆けとして人気を集め、多くのメディアでも取り上げられています。

2. Audius(オーディアス)

こちらは「Solana」とイーサリアムチェーンを基盤に運営されている音楽配信サービスです。

一般ユーザはインディーズのアーティストを中心とした楽曲を、広告・利用料なしで楽しむことが可能。一方のアーティスト側は、楽曲のアップロード、プレイリストの作成といったタスクをこなすことで、「AUDIO」という暗号資産を受け取ることができます。2021年にはTikTokとも連携し、600万人以上のユーザに利用されています。

3. Magic Eden (マジックエデン)

Magic Eden(マジックエデン)は、「Solana」チェーンで最大規模のNFTマーケットプレイスです。NFTゲームとデジタルアート作品を中心とした豊富なコレクションと、格安のトランザクション手数料が人気を集め、2200万人以上のユーザに利用されています。

2022年には1日あたりの取引件数が、世界最大級のNFTマーケットプレイスである「Open Sea」を上回りました。


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