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小さなネットワークから世界を席巻するサービスへ。DCJPYの社会的な役割は?

こんにちは。

ディーカレットDCPのDE BEYOND編集部です。
2024年のサービス開始に向けて開発が進められている「デジタル通貨DCJPY(仮称)」(以下、DCJPY)。今回はその特徴をより詳しく皆さまにお伝えしたく、元金融庁長官の遠藤俊英さんをお招きしました。
長年にわたって金融行政に携わり、現在デジタル通貨フォーラムのシニアアドバイザーを務める遠藤さんは、DCJPYが企業に与えるインパクトや社会的な役割、ステーブルコインとの違いについてどのように考えていらっしゃるのでしょうか?

二層構造ネットワークの意味


——本日はよろしくお願いします。お陰様でディーカレットDCPが開発を進めているDCJPYがサービスインまであと一歩というところまできました。遠藤さんはDCJPYが企業や社会に与えるインパクトについて、改めてどのようにお考えですか?

遠藤俊英(以下、遠藤):私が参加させていただいているデジタル通貨フォーラムでも示されたように、今さまざまな業種、商圏、コミュニティで業務や商取引のデジタル化が進んでいます。
DCJPYネットワークが独自の二層構造を採用しているのは、まさにそうした小さな商圏やコミュニティをつないでいくためですし、異なる商圏、異なるコミュニティのつながりによって生まれた新しい経済圏で最終的な決済を担うのは、DCJPYのようなデジタル通貨になるはずです。

デジタル通貨フォーラム シニアアドバイザーで元金融庁長官の遠藤俊英さん



デジタル化やテクノロジーの本質は、それによって社会が進歩し、私たちの生活や企業の経済活動が大きく変わるというところにあります。私はDCJPYが実装されれば間違いなく今より良い社会、一人ひとりのライフスタイルが変わり得る社会になると思っていますし、ディーカレットDCPさんにもそこを目指していってほしいですね。

それから、私たちがデジタル化の意味と成果を本当に実感できるかどうかは、最終的にはやはり通貨にかかっていると思います。通貨は私たちの生活と企業の経済活動を根本から支えるツールだからです。
それをデジタル化するというのは、数あるデジタル化のなかでも最もチャレンジングな試みですし、それが今サービスとしてかたちになりつつあるというのは、社会にとってとても大きなインパクトだと思います。

リアルとデジタルをつなぐDCJPY


——遠藤さんがおっしゃられたように、デジタル化にもいろいろなカタチがあり、業務工程やサービスのデジタル化とあわせて、メタバースやNFTなど、商空間、価値そのもののデジタル化も進んでいます。
その一方で、デジタル化された価値を取引するための手段は、今のところイーサリアムのような暗号資産以外ほとんどありません。そういった点でも預金型であるDCJPYのようなデジタル通貨が担う役割は大きいと思うのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか?

遠藤:おっしゃる通りだと思います。今さまざまな分野で進んでいるデジタル化が、元に戻るということはありません。私個人の感覚としても、社会と実体経済が発展・成長していくのにあわせて、メタバースのようなデジタル空間は間違いなくどんどん大きくなっていくと感じています。
メタバースは完全にデジタルな世界です。私たちが第二の人生というか、第二の人格をもって活動できるので、そこに多くの人が集まれば一つの経済圏になるでしょう。 

その一方、現状はメタバースでの決済に暗号資産が使われているわけですが、暗号資産には価値が不安定という問題以外にも、さまざまな議論や批判があります。そうした議論・批判を基に「暗号資産は今のままでは決済に使えない」というコンセンサスができ、法定通貨と連動するステーブルコインが生まれました。
銀行預金と同じ扱いになるDCJPYは、そのステーブルコイン以上に、実体経済との結び付きが強いデジタル通貨です。口座預金を直接の担保にすることで、現実世界とデジタル空間両方の決済にスムーズかつ安全に対応できるようにしたのは、DCJPYならではの強みだと思います。
暗号資産は暗号資産、ステーブルコインはステーブルコインとしてそれぞれ利用されていくとは思いますが、DCJPYはそれらとは一線を画したデジタル通貨として、リアルとデジタル両方の経済圏をつなぐ役割を担っていくのではないでしょうか。それを世の中に示すという意味でも、2024年のサービスインにはとても期待しています。

社会を変えるサービスは小さなネットワークから始まる


——ありがとうございます。私たちがDCJPYの準備を進めている一方で、最近では独自のデジタル通貨の開発に着手するスタートアップ企業も増えてきました。そうした他のデジタル通貨に対して、預金をデジタル化したDCJPYは優位性があると言えるのでしょうか?

遠藤:競争相手が出てきたということは、デジタル通貨が世の中に必要とされ、テクノロジーも追いついてきたということだと思います。
そうしたなか、どちらが優れているかという議論は別として、DCJPYには先駆的に議論と研究を積み重ねてきた蓄積があります。デジタル通貨フォーラムの活動の結晶がDCJPYネットワークというサービスなので、それを着実に世の中へ送り出せば、おのずと結果はついてくるのではないでしょうか。

参考:デジタル通貨フォーラム プログレスレポート第3号

先ほど小さなコミュニティをつなぐという話をしましたが、DCJPYネットワークも最初はスモールスタートでいいと思うのです。スモールスタートしつつ、それをうまく機能させてより多くの人に便利さ、素晴らしさを実感してもらうことが重要かなと。例えば、決済手段として世界中で使われているクレジットカードは、もともと後払いでレストランの食事を楽しむためにできた小規模なサービスだったと言われています。Facebookも最初はハーバード大学の学生だけのために開発された、ごく限定的なSNSでした。

社会を大きく変えるサービスは、まず小さなグループのネットワークから始まり、世界を席巻するような大きなネットワークへと発展していきます。この点はDCJPYも同じだと思うので、後発組に惑わされることなく銀行と企業のネットワークを構築し、次世代の決済ツールとしての利便性・革新性を示してほしいですね。

——ありがとうございます。次回はDCJPYが銀行を中心とした金融業界にもたらすインパクトや、預金口座をデジタル化したDCJPYならではの特性について、さらに深掘りしてお伺いしていきます。

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